滝和也

ガタカの滝和也のレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
3.9
硬さと柔らかさ
を持つ不思議な
触感を持つ、
ヒューマンSF。

人はそれのみに非ず。

「ガタカ」

全てが遺伝子情報に支配された近未来。遺伝子組換えを行わず、生まれた不適正者であったビンセント(イーサン・ホーク)は宇宙への夢を捨てきれなかった。彼は怪我により歩けなくなった元水泳選手のジェローム(ジュード・ロウ)の協力を得て、完璧に彼になりすまし宇宙を目指すが…ある事件が起こり…。

手堅いSFの硬質的な世界観とヒューマニズムに彩られた、柔らかな愛すべきストーリーを持つ不思議な触感を持つ作品です。

序盤の感想としては、低予算ながら、手堅い作りの近未来SFかなと…正直余り興味がわかなかったと言うのが本音ですね。ディストピアものかなと。中盤を引っ張る、バレるのではないかと言うサスペンスものとしても、え…大丈夫なのそれでと言う感がなきにしもあらず(笑)

ただある意味、全て前振り…。

終盤もテンポが高まる訳では無いのですが、一気にヒューマンドラマとしての顔が持ち出され、一気に良い話になって行くと言う…。人の可能性を露骨な設定で浮き上がらせていく本質に、友情や愛情が絡み合い、収束するストーリー展開が見事でした。

似ていない二人。

まぁ流石にジュード・ロウとイーサン・ホークは区別できる(笑) 余りにも違いますからね。ただ…ある1点、この場合は遺伝子情報ですが、それのみを見て人を区別することの浅はかさの象徴であり、それすら前振りの訳で。黒だ白だ黄色だ、背が高い、低いとか関係なく、その人の本質が大事と言う部分を浮き彫りにしているんでしょう(^^)

魅力ある世界観にあった演者

主演のイーサン・ホークが抑えた素晴らしい演技をするのは勿論ですが、ストーリー上、脇を固めたジュード・ロウ、ユマ・サーマン、そしてローレン・ディーンが印象に残りますね。まぁ一番のお気に入りはあの方ですが…ネタバレしちゃうのでコメ欄に書きますが。皆さん、世界観にあった硬質的な演技をしていますが、それが終盤に生きてくるんです(^^)

恐らく低予算で作られながらも、世界観の見せ方、ギャップのあるストーリーテリングの巧みさが魅力の作品です。これはオススメできますね(^^)
滝和也

滝和也