エソラゴト

ガタカのエソラゴトのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
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今作を観て思い出したのは、高学歴、高身長、イケメン3拍子揃った完璧な弟を持つある友人の事ー。

幼少期はやはり事ある毎に比べられ劣等感で苛まれていたそう。年齢を重ねていくうちにそれを克服し今ではその兄弟格差をネタにする迄の開き直りよう…。

妬みや嫉みで卑屈にならずに前向きに考え、弟とは全く別の道を歩んで行くことを決めてからはその劣等感は嘘のように吹き飛んでいったとか。

自分には同性の兄弟がいない為その辺りの心情はよく分からないが、男兄弟にはそういったある種独特の何とも言えない感情が必ずあるものなのだと感じたのだった。




今作は生まれる前の遺伝子情報の優劣で将来や未来が決定されてしまうという何ともすえ恐ろしい近未来社会のお話ー。

とはいえこの現代でも身分や家系、能力や性差等ありとあらゆる格差で区別されるのが当たり前の世の中なので、体裁は近未来SF物だが現代に蔓延るそういった差別や区別を鮮明に浮き彫りにしている作品でもある。

そして主人公兄弟並びにヴィンセントとジェロームの関係性の対比がとても秀逸であり感動的。特に当初契約上のドライな関係であったヴィンセントとジェロームの間柄が、お互いの境遇を理解し合ってからは次第に距離が無くなり親友から義兄弟へそして一心同体へと昇華していく様は胸が熱くなった。その流れでのジェロームの最後に取った決断には心に深く突き刺さる。


イーサン・ホーク × SF映画の相性は抜群で数年前に観た『プリディスティネーション』でもその威力は今作同様発揮されているので、そちらも必見。