このレビューはネタバレを含みます
親友である薫の自殺から一年後、最後に描いた絵は中学の時の幼馴染みの姿だった。
その絵を幼馴染みに届ける主人公漣の物語。
何をしたらいいかわからないし、それをした所で何が変わるわけでもなくて、出逢った幼馴染みにすら「自分で解決してくれるかな」と吐き捨てられる。
それでもその時はそれが正しいと思ってて、どうなるかわからないけれど、何かが変わると信じて進んでいた映画中盤までと、親友が言っていた「絶望に追いつかれないように走るしかないんだよ」というコトバが、実は幼馴染みも呟いてて、でもそれが幼馴染みが追っかけてたバンドの歌詞でしかなくて、期待していた何か(恐らく救い)に代わることが出来なくて絶望する後半と、温かいご飯に救われ、嗚咽しながら食べるシーンの流れが、全編淡々とはしていたけれどとてもキレイに映った。
自殺した海のシーンも含め、ずっと薄暗かった映像が、最後は朝日昇る山頂からハングライダーで飛び降りるシーンで、温かく、光に溢れており、思わず涙が出てしまいました(笑)
苦しさ、辛さ、逃げたいこと、淡々とした日々、それらをまとめて「絶望」と括って。
全力で走って、大空を舞って、太陽に向かえばきっと変われる。
実は最後に描いた絵は大空を太陽に向かっている自分自身の姿だった事に漣は希望を見出し、そんな親友を悼んで、感じたかったんだと思う。
そう思ったから、ハンググライダーを始め、最後は大きく飛び立つ。
そんな心の変化がとても良く表れてて、最後はとても気持ちよく終われた。
観終わった後にどう表現したら良いか悩みますね、こういう映画って。
良い意味で、ですが。