このレビューはネタバレを含みます
神楽座での試写会にて。
クリントイーストウッドの作品は派手さはなくて、でも静かに深く訴えてくる印象。
今回は実際にあった列車テロを題材にし、それだけではなくそれに関わった当事者をそのまま主役で起用するという挑戦的な作品だった。
テロに立ち向かうもの、という触れ込みに、壮大なアクションを期待している人にはオススメできません。
これの観るべき点は、認められずに人生を過ごしてきた市民の立ち向かう姿の素晴らしさと力強さです。
幼少期の格差と偏見に満ちた世界で母子家庭で生きてきたスペンサーの境遇をしっかりと描いてきたからこそ、テロに出会った状況に立ち向かえるた事に納得できる。
運命、とか、神の導き、とか。
それは結果論でしかないので好きではないのだけれど、諦めずに祈り、すがって、それを支えに何事にも向き合ってきたそれは「努力」とも呼べて、自分はそんな「努力」ってコトバは大好きです(笑)
「神さま。僕を平和の道具にしてください」
その祈りがあったからこそ、虐げられてきて、すがるように祈ってきた幼少期、落第のレッテルを貼られながらも軍隊で様々な事を学んできた青年期を経て、導かれるようにパリ行きの列車に乗れた。
列車から助け出される乗客を眺める、ナイフで切りつけられ、指も辛うじて繋がって身体中包帯だらけのスペンサーの、幼少期からすがってきたその祈りのモノローグに思わず泣いてしまいました(笑)
久しぶりのレビューでしたが。
マイペースに更新していきますので皆様、これからも覗いてくださいね。