滝和也

仮面ライダー龍騎スペシャル 13RIDERSの滝和也のレビュー・感想・評価

3.4
龍騎と言う世界を表す、
合わせ鏡の様な
マルチバース的な存在

幾重にも紡がれる
その世界は…
ヒトの多面性と可能性
が描かれる…

「仮面ライダー龍騎スペシャル
 13RIDERS」

仮面ライダー龍騎の中盤で作成されたTVスペシャル版。放映中だった作品の世界観、キャスト、キャラクターを踏襲しながらも、異なるストーリーが描かれ、最終回を描くパラレルワールド、マルチバース化した作品。

その内容は違う話ではあれど、龍騎城戸真司、騎士秋山蓮のキャラクター、二人の関係の前半のダイジェストの様であり、二人の未来を予見させるものでした。

そしてライダー対ライダーと言うライダーバトルを強く打ち出した作品の特徴を僅かな時間でありながらも強調。何故戦うのかと言う命題は既に登場していたキャラには与え、戦いを強調するヒール役として黒田アーサー演じる新キャラ仮面ライダーヴェルデを投入(ファイナルベントはキン肉ドライバー(笑))してました。

45分と言う短い時間に無理やり詰め込まれているので、色んな雑さはあるんですが、龍騎世界を説明し、ファンを獲得する事には成功しているとは思います。更に当時この作品を放映中に結末を視聴者に選択させると言う大胆な手法を投下し、話題づくりをしていた部分も今の令和ライダーでは不可能な内容ですね。

龍騎世界がミラーワールドと言う世界を持ち、神崎士郎と言う謎の万能(龍騎世界の神であると言えますね)キャラが時間さえ超越してしまう(劇中語られた仮面ライダーオーディンのタイムベント)故にパラレルワールド化しても無理がない。また各々の願いには己の正義によるものが多く(かなり狂ってる方が多いのですが…)それぞれに背景、物語が存在し、幾通りの世界があっても良いと感じます…。  

この作品だけで2つの結末があり、同時進行した夏場の映画にも結末があり、更にその半年後のTV放映の最終回に結末が存在すると言う…前代未聞の作品になった龍騎。その全てがお決まりのヒーローを否定しながらも、仮面ライダーであったと言う凄まじい作品です。その存在は正にエポックメイキングであり、平成ライダーが今も続く原動力になってます。ライダーが好きな方には必須の作品です。
滝和也

滝和也