カテリーナ

シティ・オブ・ゴッドのカテリーナのレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.0
これが実話であるという事が
信じ難い しかし、
認めない訳にはいかない
1960年代後半のリオデジャネイロ郊外
で実際にあった出来事がベースになっているのだ
まるで野球で遊ぶからバットやグローブをちょっと借りるよ的な軽いノリで
手にする黒々と光る銃
明らかに命の重みが軽い
この場面で悶絶する

そしてあっさりと抗争に巻き込まれ
訳も分からず命を落としていく
ここは地獄か?

フェルナンド・メイレレス監督の
『ナイロビの蜂』を先に鑑賞している
扱うテーマは悪徳製薬会社を暴く女性が
報復に残虐に殺される話しでそれだけでも
うんざりするが『シティオブゴッド』ほどでは無かったと今作を見て感じる

子供同士の殺し合いの映画なんて
見るに堪えないのに
なのに何故見てしまったのか
名作と謳われる理由だ

しかし、本編が始まってから不快感だけが
私を覆う
道端の水たまり埃っぽい空気
そして街の熱気 その熱を帯びたたっぷりと湿った腕
街行く人々の気だるい歩き方
とりわけオープニングのやけに陽気な音楽に合わせて鋭い包丁を研ぐ音
鶏の毟り取られる羽根が落ちるその先に
紐で繋がれた鶏の鳴く声
切り裂かれる喉 そのショットから
不気味な予感をタップリと味わう

もう、街中で何があっても誰も悲鳴ひとつあげない

諦めきった空気

少し前にも同じ感覚に襲われた
メキシコのフアレスが舞台の『ボーダーライン』を見たときだ

その空気の中を疾走する子供たちのエネルギーは確かに凄かった
とりわけ
カメラを握りしめひたすらシャッターを押すブスカペ 目の前で繰り広げられる
殺し合いに眉ひとつ動かさず目だけが異様にギラギラと光っていた
このチャンスを逃すものかと物凄い行動力で一部始終を撮るのだ その姿は狂気に満ちていた

しかし、
でも最後まで鑑賞できて良かった

この不快感こそがこの映画の肝なのだ
とエンドロールを呆然と眺めながら
気付いたから
カテリーナ

カテリーナ