レオピン

戦国自衛隊のレオピンのレビュー・感想・評価

戦国自衛隊(1979年製作の映画)
3.6
共感シアターにて同時視聴。

ヘリは乗るもんじゃない。ぶら下がるもの笑

これまでに何回か観たけど、今回改めて観たら青春映画の傑作でした。
アクション演出は千葉ちゃん自身で、ドラマパートが斎藤光正監督。「俺たちの旅」を思わせる青春の断面。いきなりドラマと全く関係ない印象的な挿話が挟まれ歌が重なる。生粋の映画人はこういった演出を嫌うだろうが、でも元々ニューシネマでやってたこと。80年代のMTVはニューシネマが準備していたのか。

この映画に出てくる女性たちには一切台詞がなかった。
スターにしきのが時折り思い出す恋人岡田奈々のショット。どこまでも中康次を追ってついてくる小野みゆき。描かれるのは傷つき倒れ敗れていく男たちだけ。そんなものにロマンを感じてしまう自分はおそらくどーかしてるんでしょう。

ほかに、沖縄戦やベトナムを思わせる村民虐殺のシーンが時代とのシンクロを感じさせる。79年というと、アメリカじゃもうニューシネマから抜け出した頃だが日本ではもうちょっと遅かったのかな。ヒロミツのモービル石油のCMなんかはもろニューシネマど真ん中って感じだけど、その鈴木ヒロミツがゲイ設定というのは知らんかった。にしきのからタバコを貰ってうれしそうにしていたのに直後に宇崎の落武者に殺られてしまう。。

物語の前半パートを牽引していたのはやっぱり狂犬渡瀬。彼がいたおかげでダラダラしたシーンでも不要な緊張感が保たれていた。仲間を平気で撃ち殺す男、渡瀬。上官に手榴弾を投げつける男、渡瀬。一体何者。もしあのまま渡瀬が勝ち残った世界線だったら日本史は相当ヤバいことになってたな。征夷大将軍が渡瀬、渡瀬幕府。

他の隊員たちは、、
フサフサしてる角野宅造。はしゃぐ宅造。つけあがる宅造。宅造うしろうしろー
長髪にレイバンが似合う高橋研。いかにも戦後世代が吐く台詞は『皇帝のいない八月』で山本圭に言わせてたのと同じものだった。

第2部では川中島合戦シーンがド迫力。倒れる馬の撮り方。スローモーション、編集はペキンパー映画のよう。人海戦術は角川作品の十八番だ。その春樹さんはプロデューサー特権を使って真田鉄砲隊で目立ちすぎなのが笑

終盤にいくにつれて隊員たちはげんなりしていくが千葉ちゃんだけがやたらと元気に。ついに武田信玄とサシで勝負し銃を使って倒した上に首級まであげてしまう。

もういく所まで行く伊庭。部下の進言も耳に入らない。

ぬるま湯につかった時代に戻ってなんになる。本心のままに生きようとは思わんか

一方、大人の世界に生きる景虎は強敵(とも)を討つため廃寺へ軍勢を向ける。。

景虎、ワシは天下を取るっ!

どう見ても生まれてくる時代を間違えてしまった男、伊庭三尉と俳優千葉真一が重なってみえた。
晩年の千葉ちゃんが念願だったという『チンギスハン』。伊庭が蒼き狼になって活躍する雄姿。見たかったー
でも今頃は先に旅立っていった仲間と一緒に映画の話で大盛り上がりでしょう、きっと。


⇒最後に家屋敷が燃える系映画ベスト級
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