KouheiNakamura

ミュージアムのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

ミュージアム(2016年製作の映画)
2.5
リメンバー・フロッグマン。

蛙男。と聞くと、頭に思い浮かぶあいつ。DVDのパッケージではやたらとスタイリッシュなのに、本編では見境なく女を襲う着ぐるみのあいつ…!そう、フロッグマンがついに日本映画に殴り込みだ!

…もちろん、そんなわけはなく。同名漫画を小栗旬主演で映画化したスリラー。雨の日にだけ現れる連続殺人鬼・蛙男との死闘を描く。監督はるろうに剣心シリーズの大友啓史。

早い話が日本版「セブン」である。よく考えてみると、「セブン」はもう20年前の映画なんだが未だに模倣され比較されるあたりデヴィッド・フィンチャーの才能がうかがい知れる。
しかし、「セブン」にはあってこの「ミュージアム」にはないものがある。それはズバリ、狂気だ。

この「ミュージアム」、猟奇殺人を取り上げ全年齢対象作品にしてはかなりグロテスクな場面も多い。蛙男を演じる妻夫木聡の怪演も相まって、ビジュアル面ではかなり頑張っている。しかし、正直言って僕はこの映画から恐怖を感じることはなかった。例えば今年の映画で言えば「ヒメアノ〜ル」に感じた狂気・戦慄、「クリーピー」に感じたおぞましさ・気味の悪さが「ミュージアム」には微塵も感じられない。
おそらくこれは僕が大友啓史監督の演出が肌に合わないことが原因だろう。大友監督の演出は、良く言えば感情的。悪く言えば大げさで、本来は恐ろしいはずの場面でいちいち興をそぐ。例えば、ひきこもりの男が蛙男に殺害される場面。蛙男が手に持つノコギリと縛られた男を映すだけでも十分に恐ろしい場面なのに、わざわざ緊迫感を演出するBGMを大音量で流してしまう。分かりやすいと言えば分かりやすいが、いささか過剰でこのシーンが本来持っている恐ろしさは大幅に減じている。
役者のオーバーアクトが多いのも興ざめ。いくらなんでも叫ばせ過ぎでは?前述した「セブン」のクライマックス、極限状態に置かれたブラピの演技はアメリカの演技学校で教材として使われるほどなのだが、小栗旬の演技はいささか一本調子。

全体的に力(みすぎ)作だと思う。いっそのこと蛙男のデザインをフロッグマンに変更していれば…。いや、それはないな。
あんまり怖い映画は嫌だけど、それなりに緊張感のあるスリラーが見たい方にはオススメです。
KouheiNakamura

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