勝ったのは農民だ

ダンガル きっと、つよくなるの勝ったのは農民だのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

映画公開当時、日本レスリングのパワハラ問題の栄和人監督が、この映画に応援コメントを寄せていたのがすごく嫌でした。
応援コメントを出した直後にパワハラ問題が明るみになったわけですが、この映画のファンほど、変な感情が湧いたと思います。

劇中でも、本当にパワハラ的なコーチが出てきますしね。あの辺りはかなりフィクションだと思いますが…。💦


事前の予想としては、女子レスリング版『巨人の星』みたいな単純なものだと思ってました。🤼‍♀️
ただ、アーミル・カーンが主演の時点で、「きっと、面白くなる‼︎」って期待値がだいぶ高くなってました。⤴️

結論から言うと、根本的には自分には心から賛同出来ない点が少しありましたが、最後の試合は感動しました。
アーミル・カーン主演作品で観たのは、『きっと、うまくいく』『PK』に続いて3本目です。その2本には劣りますが、好きな作品です。


まず、主演のアーミル・カーンの役作り。
自分の大好きな『百円の恋』の安藤サクラを思い出しましたが、痩せたことより、むしろあの中年の状態まで太れたことが凄いと思いました。一度、体脂肪率38%まで上げてから、9%台に戻したそうです。
普段から鍛えている人にとって、胃袋の大きさも含めてあれだけ太ることって絶対に気持ち悪いはずです。🍽

あと、劇中のレスリング選手全員、レスリングの試合をよくあそこまで再現出来たと思います。ボクシング映画の『クリード』なんかもそうですが、映画の試合のシーンが「作り物として凄い」んです。
CGで何でも描ける時代なのかもしれないけれど、ああいうスポーツのリアルな迫力を描こうと努力した役者さんや演出スタッフは偉いです。

もちろん、演出としても最後の試合もエモーショナルに上手く描いていると思いました。

ミュージカル・シーンはありませんでしたが、そこは別に気にはなりませんでした。
主題歌以外にも印象に残る歌が何曲か流れていましたし、その音楽が流れている間もストーリーや時間が止まらずに、ちゃんと経過しているつくりでした。⏰

マイナスポイントを挙げていきます。
❶個人的には、アーミル・カーンの演じるマハヴィルというキャラクターは、あまり好きなタイプの主人公ではありません。
下手したら、自分の嫌いな亀田史郎さんみたいな人物像になりかねませんでした。
あの娘たちが結果を出したから良かったものの、世間と違う人生を歩ませるのはかなり残酷だと思いますし、個人の人生の選択肢を奪いかねません。🤔

ただここでネックなのは、インドにおいて女性の社会進出がかなり遅れているということです。多分、後付けの理由だとは思いますけど、終盤は「ギータの勝利はインドの少女の勝利」という表現が出てきます。👭

❷実はそこも自分には合わなくて、ああいう個人競技において「国の代表」という側面もありますが、根本的には「個人対個人」で、相手に純粋に勝ちたいという勝負の方が逆に好感が持てます。😅


とは言え、実際にあの家族は結果を出していますし、あの家族の努力や功績、この映画の観客に与えた感動や影響は真実ですから小さなことですね。🥇


あと、自分は格闘技好きなのに、アマレスの知識が疎かったので、これを機に少し勉強します。コイントスのルールとか全く知りませんでした。🤼‍♀️

筋トレやランニングをする時に『クリード』のサントラを聴くとテンション上がりますが、今作の「ダンガル ダンガル〜」の曲も同様にこれから取り入れていきたいです。


青春スポ根モノであり、『ズートピア』や『ドリーム』にも似た女性の社会進出映画として、新たな傑作だと思います。🎬