LalaーMukuーMerry

裸足の季節のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

裸足の季節(2015年製作の映画)
4.1
両親が亡くなっておばあちゃんと叔父さんに育てられた、思春期の美しい5人姉妹を通して描く、トルコにおける女性の自由について考えるお話。女性監督の作品だとすぐにわかる若い女性の素顔の描き方、男にはちょっと刺激が…
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舞台となった東トルコ黒海沿岸地方では(アラブほど戒律が厳しくないが)イスラムの古い慣習が根強く残っている。
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ある日学校帰りに5人は男子生徒達と海岸で遊んだ。肩車をして遊んでいたことが、噂になってすぐにおばあちゃんの耳に入った。家に戻ると、おばあちゃんは態度を一変、若い娘が「下半身を男の首にこすりつける」なんて。
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かわいい孫娘たちが「傷もの」にならないようにと、「かごの鳥」生活が始まった。そして相手を勝手に決められて、姉たちが次々に結婚して家から出ていき始めた。そのことが我慢できなかった末っこのラーレは自由に生きるため脱出計画をたてる…
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日本だって戦前まで本人の気持ちも考えずに娘の結婚相手を親が勝手に決めていた時代が長く続いていたのだろう。でも戦後の日本では、小津監督作品のように、娘の気持ちと幸せを大切に思う親心や、家から出ていく娘の心の揺れが描かれた、結婚を扱った名作がたくさん出た。小津作品のような、あるべき姿を説教がましくなく、ごく自然にみせる映画が広まったことは幸せだったと思いますね。
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この作品のように、おかしな現実を示してメッセージを伝えるのも一つの方法でしょうが、トルコでも小津作品のようなものができることを願います。とはいえ、引き込まれるとても良い作品でした。