ヌイグルミと野生の動物が共存するファンタジー世界を舞台にしている、ディズニー謹製のアニメーション作品。イギリスの作家A.A.ミルンの同名児童小説を原作に取っており、使用権をめぐる紆余曲折があったことで有名。
完全保存版は、既成品となる中編3作品に新規カットを加えて、無駄なく繋ぎ合わせたスタイルになっている。よく動くアニメーションとスラップスティック劇の取り合わせが絶妙であり、整合性のなさがあたりまえのトンデモ世界が構築されている。
ハチミツに執着するテディベア「プー」のイッちゃってる言動がいちいち面白く、アッパー系とダウナー系のどちらとも取れない、「プー系」のトリップ体験を味わうことができる。「原作には出ていないからね」とメタ発言を交えながら登場するキャラも面白い。
「プーのおバカさん」と訳されている台詞が、言語では「Silly Old Bear」であるところにも注目。こういう細かいニュアンスが、日本語訳では難しいのが悔やまれる。