原題は「黄金のズボンと少年」。スウェーデンで1967年に発表され、70年代にはテレビシリーズとして放映された人気小説の長編映画化だそう。内容はまったく知らないので比較のしようがないのだけれど、その時代に流行した児童文学を現在に蘇らせるのは並大抵なことではない。
ポケットから現ナマが無限に出てくるという不思議なズボンを手に入れた少年の話。そのカラクリや理由については一切触れられることのないまま、ただ訪れる事件や危機をどうするか?ってだけなので、
ほぼ子供が右往左往する地味目なアクション映画になってしまっている。
まったく理解できないありきたりな邦題も酷い。こんな見て秒で忘れるようなタイトルを良く思いつくなあと逆に感心する。
たぶん配給した人も、この魔法のズボンのことはどうでもいいと思ったのだろう。
いきなり大金を手にしたときは子供らしく好きなおもちゃを買いまくったり無駄に捨てちゃったり。自分に置き換えると、こんな夢のような話はないし、悪いことならいくらでも思いつくw
ところがさすが北欧のお子様。さっさと自らの過ちに気づき、世の中に役立てなくては!と、心機一転、善行に邁進する。
そのせいでいったい誰が悪者なのか、なにをすればカタルシスを得られるのか、目的がはっきりしないままにお話が転がっていくので、結局ドラマ性の薄い作品となり、この低評価になっているように思う。
ラストのオチも、なんか良い話ぽくまとめてはいるけれど、そもそもが他人の金なのでモヤモヤとしたものが残った。
子供なら子供らしく大いに悪さをして、ちゃんと痛い目に遭って、こっぴどく叱られる。そんな話のほうがいいよね、とか考えながら、ドラえもんの偉大さを知る。