KouheiNakamura

日本で一番悪い奴らのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)
4.3
日本警察史上、最大の不祥事と言われた稲葉事件を元にした一人の警察官の一代記。
和製「ウルフ・オブ・ウォールストリート」か!と言われているように、主人公の諸星要一が善悪の垣根を越えて暴走しやがて堕ちていく様が魅力的。

しかし「ウルフ〜」とこの映画が違うのは、諸星要一は組織に属しているということ。警察官は国家に仕える身であるという意識を諸星は最後まで持っている。全ては組織のため。…とはいえ、諸星のやったことは本末転倒もいいところだし個人の欲望を満たすための行動もしまくりなのだけれど。正義のために、法を犯す。こう言えば聞こえはいいけれど、結局諸星にはその正義を貫くほどの器も覚悟もなかったのだと思う。シャブにはまってからの転落劇は諸星という人間の弱さを浮き彫りにしていて、なんともいたたまれなかった。

前作「凶悪」が衝撃的な事件をとにかくシリアスに描いていたのに対して、今回はユーモアとテンポの良さでエンターテイメント寄りな演出。白石和彌監督の幅広い演出力を堪能できた。
主演の綾野剛はイケメンをかなぐり捨てる大熱演。初めてシャブを打つ場面は特に最高。中村獅童は本職のヤクザさながらの迫力だし、デニスの植野行雄のエセ外人っぷり、YOUNG DAISの子分感も最高。
総じて時間を忘れて引き込まれた一作でした。オススメです。
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