ひゅうどんこ

ザムザ氏の変身のひゅうどんこのレビュー・感想・評価

ザムザ氏の変身(1978年製作の映画)
3.9
◎加🇨🇦原題:『The Metamorphosis of Mr. Samsa』意味は邦題に同じ。


 砂を素材に使ったアニメ(サンドアニメーション)には、平面上に展開するものと、立体的に進行するものとがあります。こちらは、平面版である2次元砂アニメの元祖/第一人者として真っ先に名前の挙がるキャロライン・リーフ、その人による作。

 砂アニメ × フランツ・カフカ × キャロライン・リーフ →驚ろ驚ろしく禍々しいマリアージュに( ; ゚Д゚) !でもそれでいて、どことなくコミカルで、ドラマチックな物悲しさが伝わってきます。
小学校低学年時にみた絵本『モチモチの木』から受けた、言い知れぬざわざわした感じと一緒だわ。

 原作に記した〝Ungeziefer〞。作者であるカフカは、初版発刊時に表紙絵について、「◌◌そのものを描いてはいけない」、「遠くからでも姿を見せてはいけない」と注文をつけています。では本作はどうでしょう。現実に存在する固有の生物であると断定出来ないまでも、このドイツ語元来の意味する嫌悪感を抱かせ危害さえくわえそうな特定のあるモノとして見せています。

 ザムザ氏が何者であるか、大事なのは実はそこではなく、自分以外からはどう見えているか?なのかもしれません。

 実存主義文学であり不条理文学でありナンセンス文学にもとれる原作。それをかいつまんである意味原作のイメージをそのまま忠実に見える化したキャロライン・リーフ監督。その懐の深さに触れたのは鑑賞2回目以降だった気がします。
「砂で描くことの限界、それが必要とする単純化により、ストーリーテリングで独創的になりました」こう監督が語っている通り、砂の質感から生み出せるもの、表すことが出来ず想像に委ねること、どちらも強烈に迫ってくるのです。

 「なんてこった( ・`ω・´)! ほんとのワタシはまるで違うのに、みんな表面上に見えるワタシしか分かってくれない。どうすりゃいいんだよ、、、 」
もちろん、そんなセリフは出てこないわけですが、フッと浮かんだそんな言葉をザムザ氏に投影させながら、その反射を我が身に当ててみると、些かぞーっ😰としてしまいました。
異端は阻害され迫害を受け、やがて追放される。。不条理(ありえない)だけど、実存(本来のあるべき姿ではないのに存在してしまっている)主義ってそういうことなんかなぁ、と少しだけ分かった気になっています。解釈が間違っていれば、ご指摘下さいね💁

 劇中演奏のシーンがありますが、不条理に欠かせない不協和音に聞こえます。これが見事に耳障りww
音楽(音響効果はMichel Descombes ミシェル・デコンブ?)を担当したのはノーマン・ロジェ(Normand Roger)。
割り込みで挙げようと思ってるレビュー作成中の短編映画が2本あるんですけど、どちらも音楽担当は偶々ノーマン・ロジェ。。プチ祭りだな😅

 本編はあちこちで観れますが公式っぽくてよりクリアっぽいコチラがあります
   ↓↓↓
https://youtu.be/GHvy-J1BFu8



❬その他余談❭......

◎劇中演奏のちゃんとした曲の調べはこんな感じ
─バンダイ公式チャンネルより
https://youtu.be/ZVr-CQBK7cA

、、それをさらに目と耳で癒しを求められる方には、こんなんも↓ありましたよ💁
─MusicPowerSpot Comin様チャンネルより
https://youtu.be/jFqNaH1FoEM


◎鑑賞1回目スコア2.7 2回目3.9