えいがうるふ

銀河の魚~URSA minor BLUE~のえいがうるふのレビュー・感想・評価

銀河の魚~URSA minor BLUE~(1993年製作の映画)
5.0
たむらしげる氏のこの作品はCD-ROMソフトで持っているが、なんせ1993年発売のものなので、とっくにOSが対応外となり再生出来なくなって久しい。YouTubeで観られると知って久しぶりに観てみた。目と耳がふわぁっと癒やされる懐かしい映像にしばしうっとりと時間を忘れた。

内容はいわゆるデジタル絵本のはしりで、純度の高い短編のファンタジー作。水・星・魚・月など私の好きなモチーフが詰まっていて、さらにちょっとした生活感のあるシーンなどもあり、よく出来たスノードームや箱庭を覗くような楽しみがある。

イラストレーターであるたむら氏の画風はCGアニメ化するとその独特な透明感のある色彩の美しさがさらに冴える気がする。それでいて、手描きの線の温かみややわらかさには何ら遜色がなく、もともと二次元のキャラクターたちの動きや彼らがたてる音にも何ら違和感が無い。それが当たり前のように実現されているのが、彼の映像作品のなんとも不思議な魅力になっている。

たむら氏の絵本作品はみんな大好きだが、映像作品として発売されたものはごく少ない。銀河の魚に次いで95年に発売されたCD-ROM「PHANTASMAGORIA」も素晴らしく面白い作品だった。
CD-ROMなので多少インタラクティブな操作性があり、どうぶつの森のような拡張性はないものの、その美しく不思議な星の上をぐるぐると探索する楽しみがあり、購入直後からかなり長い期間に渡り毎晩ひたすら黙ってその画像をあちこちクリックしつつ眺めていたのを思い出す。

もはや知る人ぞ知る映像作品だが、思い入れの強さで満点献上。