踊る猫

何者の踊る猫のレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
3.9
就活に挑む六人の男女を描いたストーリー。ネット社会の闇の深さを強調した売られ方がされているようだけれど、その側面から観ても結局あるのは陳腐な(メイン垢とサブ垢の使い分け程度の)「闇」でしかないから期待するのはお門違いだろう。ではなにを観るべきか。それはこの映画が演劇仕立てで、劇中劇を多用する構成で出来ているところに注目すべきなのだろうと思う。それはこの映画の登場人物たちが「何者」かを「演じよう」としているところ、つまり誰かにどう見えるかを過剰に意識しているというその痛ましさを観るということなのではないかと思う。自分の分析に自分で酔う主人公を始めとして、各俳優の演技は「間」の取り方も含めて見事。ただ、台詞に頼らない場面がもっとあっても良かったのではないか。思わせぶりなだけの台詞が気になるところもあって、そんなに前のめりになって観ることは出来なかった。
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