ふしみあい

レッドタートル ある島の物語のふしみあいのレビュー・感想・評価

3.8
最初の、痛いほどの波の音と、波間の男が近づいたり遠ざかったり波にのまれたりする様子に心奪われた。

80分強という上映時間だけど、体感もっと長い気がした。男の一生を観ていたから?

監督や鈴木プロデューサーも言っていたけど、この物語は寓話性が非常に高い。いつの時代なのか、どこの国のだれの物語なのか、そういうことが一切排除されている。普遍的に語り継がれ、観られる映画を狙ったのだと思う。

セリフはなく、表情や仕草、息使いで登場人物の心情はわかるのだけれど、目が点なのにちょっと笑ってしまった。

東日本大震災があった日本で、あの津波のシーンをカットしなかったのは、すごい判断だと思う。私が直接震災にあったわけではないから言えるのかもしれないが、あのシーンがカットされなくてよかったと思う。
映画館のスクリーンで迫力もすごかったし、音もとても怖かった。
どれだけ人間がその環境に適応しても自然の前ではちっぽけな存在なんだなあ、ということが言いたいんですかね…

予告では全然わからなかったストーリーに少々面食らった部分が正直大きいけど、映像的にはすごくよかった。いちいち構図が格好いい。また、常にモヤがかかったような、紙の質感のような画面はとても綺麗だった。雨の音や波の音、水の音も美しかった。

あと、イカダを下から突き上げるのにいちいちビクビクした…完全にロストバケーションのせいです…

この映画のキャッチフレーズ、「どこから来たのか、どこへ行くのか いのちは?」を念頭に置いてずっと観ていたけれど、正直???となった。観た人はみんなどういう解釈をしているのかが気になる。そもそも解釈なんてないのかもしれない。上にも述べたように、これは一つの寓話だから、「〜という話がありました。」で済ませられるのかも。でも、どういう風に考えたのかは気になるので、皆さんコメントください!私の解釈、というか、こういうこと?っていうのはコメントにネタバレで書きます。