先延ばしにするのはやめよう！シリーズ その4
沁みたぁ…。
相変わらずの是枝節にやられた。
ドーン！じゃなくてジワーっと。
何気ないけど心の琴線に触れる会話、エピソードの数々。これは保存版だ。
日常の切り取り方の絶妙さに唸る。
くたびれた中年男、良多（阿部寛）。
書いた小説が一度だけ賞を獲ってから、鳴かず飛ばず。今は細々と執筆しながら生活の為、探偵事務所で働いている。お金に困っていて、まとまったお金が入ったらすぐに賭け事で増やそうとする癖がある。
妻は愛想を尽かして、一人息子を連れて離婚。
月に一度、養育費の受け渡しで会うことになっている。元妻に真木よう子。
相変わらずきつい物言いだけど、美しい。。
良多の母親に樹木希林。晩年の姿と重なり、何度となく胸が熱くなった。
台詞がそのまんま名言集！
同じ探偵事務所の後輩、池松壮亮が良いアクセント。安定のリリー・フランキー。
良多と姉（小林聡美）の会話も、きょうだいあるある、リアルで面白い。
私のお気に入りの黒田大輔がちょい役で笑
みかんの木。
宝くじ。
半年前のカレーうどん。
カルピスを固めたシャーベット。
戻れない日々。
夢や失くしたものばかりを追い求めて、男は今を愛せない。
失くしたものの大きさに気づいても、時すでに遅し。
幸せっていうのは、何かを諦めないと手にできない。人生は単純よ、と息子に話す母。
切ないよ、切ない。。
親子って何だろう？
似てほしくないところが似て、似てほしいところが似てない。
でも、どこか同じものが流れている、、
不思議な存在。
実家に行って帰ってきてすぐに今作を見たから、自分の親、子どもとの関係を重ねてしまった。
色々あるけど、人生は続いていく。
上手く言えないけれど、少しだけ前を向いて、歩いて行けたら。。
そんなことを思った。
さり気なくそれぞれの日常に帰っていくラストシーン、とても好きだな。
結論をはっきりさせず、観る者に委ねるのはいつもの是枝流。
"海よりも深く"
タイトルはテレサ・テンの歌の歌詞から取ってたんだ。学生時代、カラオケでよく歌った。
"つぐない"も好きだったけど、"別れの予感"が一番好きだった。懐かしいな♪
二十歳そこそこで、意味もわからず歌っていた。今、歌詞を読むと切なさがハンパない。。
人生って、幸せって。
一言で言い表せないな。
上手くいかないことも多いけど、そんなに悪くはないのかな。
♪ 夢みた未来ってどんなだっけな…
人生に迷ったことのある人、後悔したことのある人には沁みる、、作品。
エンディング、ハナレグミの♪"深呼吸"がまたエンドレス・リピート。
