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好きにならずにいられないのharuのレビュー・感想・評価

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)
4.7
薄毛でロン毛で体がでっかい、とにかく純粋なフーシ。40代独身。いままで女性と交際したこともない。
この作品はそんな彼の初めての恋物語であり、それを通じて自分の殻を破り成長していく様を描いている。


無理矢理参加させられたダンス教室。そこで1人の女性と出会ったことから、彼の生活は少しずつ変わっていく。
彼女を喜ばせるために、普通はなかなかできないような行動をたくさんしていく。
見返りを求めての行動ではなく、純粋に彼女が喜ぶ姿を見たいという気持ちだけで彼は動いていた。

切ない話ではあったが、最終的には新しい世界へと踏み出そうとするフーシ。
いつも下から眺めているだけだった新しい世界への入口へ、遂に一歩踏み出す。
そんな時、最後の最後に一瞬見せた優しい笑顔は、最高のラストシーンであると思えた。


彼の純粋な優しさは、観る人みんなを暖かい気持ちにさせてくれる。
その風貌から、誤解をされ煙たがられたり、いじめられたりもするが、最後はみんな彼のことを好きになる。

その理由のひとつは、彼はすごくおとなしいけれども、実はとても外向的であるというところにあるのではないだろうか。
ラジオのDJとの関係もそうだし、いじめていた男たちとのパーティーにも参加する。初めて会った人たちと飲みに行ったり、近所の子供たちとも一緒に遊んだりもする。

本当にその風貌で誤解されてしまうだけなのだ。
その点、猫は本質を見抜くのが早かった。
猫はなかなか人に懐くのに時間がかかりそうなものなのに、あっという間に彼に懐いていた。



多くの人が感じていると思うのだが、この作品のプロモーションを担当した人はこの映画を観ていないんじゃないかと思えるほど、この作品をどう売りたいのかがわからない。
日本版のタイトル、ジャケットからはこの映画の本質はどうしても見えずらい。
日本版のジャケットからこの映画を選ぶような趣味の人が求めているような映画ではないし、このような映画を求めている人は避けてしまうような表現になってしまっている気がする。
そんな風に考えてしまう、自分が浅はかなのだろうか。だとしたら、本意が知りたい。
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