とりん

デジモンアドベンチャー tri. 第2章「決意」のとりんのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

2020年8本目

新シリーズの第2章。
序章とも言える前作で新たな選ばれし子供の芽心との出会い、ほして感染デジモンとの戦いという今作の筋が明らかになり、展開していくかと思いきやそこまでもなかった。
やはり今作も前作に引き続き言えるのは子供達のドラマ性を強めにしているということ。
デジモンの戦いよりも、学園ものにデジモンという要素が足されているような感じ。ほのぼのシーンがかなり多い。
メインは太一たちの高校の文化祭でもある
本作のサブタイトルの決意とあるように、誰かの迷いを振り払う決意を固めるのは明確である。
それがてっきり前作の最後に再び気持ちが揺らいだ太一のことかと思っていたら、丈のことだった。

戦うことに躊躇いを見せる太一の悩みとは違い、丈は選ばれし子供になぜ選ばれたのかというテレビシリーズでミミと一緒に悩んだ問題に再びぶつかっていた。
その疑問への葛藤を募らせ、受験を言い訳にし、集まりにも参加しなかった。
ゴマモンはそんな丈を見ても否定はせず、献身的に支えようとしていた、いつでも力になれるように。
しかし丈はあたかもゴマモンが邪魔のように言ってしまい、2人の仲は割かれてしまう。
でもゴマモンの危機と戦う理由を悩んでいた丈にゴマモンとの絆の理由を問われた光の言葉に吹っ切れて、戦うことを決意、その想いがゴマモンに届き、究極進化へと導く。

テレビシリーズではアグモン、ガブモンのみが究極進化、02まで含めるとパイルドラモンの3体のみしか究極進化はなかったが、ここで初めて4体目となる究極体が生まれる。

また今回リリモンも究極進化する。
それは今作のもう1人の主役ミミの決意もこの物語で描かれていたから。
テレビシリーズから自己中なのは明らかだった彼女だが、その変わらなさは前作でも明らかになっていた。
本作でもその自己中さが仇となり、文化祭実行委員の中で他の委員の生徒と対立してしまう。
彼女の自己中は短所でありながらも、周りの空気を読まず自分の意見を曲げずに言い切るというのは、長所でもある。
ミミはその気持ちに一度は揺らぎ、丈とともに考え込んでしまうのだけれど、芽心の支えと丈の吹っ切れた姿を見て、彼女も自分のままでいいという決意をし、それが究極進化へと導いた。

また今回テレビシリーズでおなじみ、みんな大好きレオモンが帰ってくる。
そしてその永遠のライバルであるオーガモンも。
しかしオーガモンは感染しており、それを止めるためにレオモンが奔走している感じだ。
それを含めたデジモンワールドの危機を知らせるために選ばれし子供達と再会を果たす。
レオモンのキャラも相変わらずでパートナーデジモンたちに振り回されて、あたふたするのもたまらない。

今作で新たに登場してきたのはデジモンカイザーである。
それが感染に関わっていることは明白で、それがあたかも一乗寺賢であるように仄めかしている。
このデジモンカイザーらしき人が今後さらに関わってくるだろう。

それから芽心のパートナーデジモンであるメイクーモン。
前作からアルファモンが狙うなど、明らかに今回の一連の事件と深い関わりがあるであろうデジモンだが、最後にまさかのレオモンを殺害するというとんでもを起こす。
この際芽心のデジヴァイスは黒く光っている。
それは暗黒進化なのか、はたまた感染なのかは分かっていない。

さらにはデジモン、および今回の歪みを調査している組織で味方であると思われた西島と姫川だが、そのうち姫川の動きが最後怪しく見えた。
以前から芽心と関わりがあり、上京の手助けもしており、メイクーモンとも仲が良い
ただそれは建前で実は今回の事件と深い関わりがあるのかもしれない。
それは今後明らかになるであろう。

さて全体について、今作は絵が前作より格段に良くなっている。
特にデジモン側はかなりブラッシュアップされて、荒さはなくなり、より滑らかに良い意味でデジタル感がある。

前作から絶賛の音楽も今回もバッチリ、あの曲のアレンジまでというのが多数。
そしてエンドロールはまさかの和田さんのSevenのアレンジバージョンである。
これが和田さんの生前最後のシングルにもなっている。
これはアレンジも好きだった。

今回も特に進化によるジレンマは一切なく、超進化も究極進化もしっかり見せてくれて良かった。
ただ前回同様だが完全体からの究極進化へが雑である。
それならワープ進化すれば良いじゃないかと思ってしまうほど、必殺技一つして次の進化に行くのは如何なものかと。
まぁ各デジモンひとつは魅せ場を作りたいのかもしれないが。

今作自体は起承転結の承にあたる、それもその一部にあたるところで、物語の展開が少しありつつも謎が深まるだけであった。
というよりデジモンシーンより子供たちがメインで、これはデジモンで見せるべきなのかとも思ったり。
しかしこの選ばれし子供たちだからこその悩みでもあるから、そこはさした問題ではないかもしれない。

途中に少しの戦いと最後に大きな戦いというのが今作tri.シリーズの流れの一つかもしれない。
前作より気持ちよく観れたが、それでもテレビのスペシャルでシリーズ化でも良かったのではという気持ちは拭えない。
とりん

とりん