ひでやん

ダンケルクのひでやんのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.8
フランス北部の海岸で逃げ場を失った英仏連合軍による撤退作戦を陸海空の3つの視点で描く。

1週間の脱出劇、1日の救助劇、1時間の戦闘という異なる3つの時間軸を同時に進行させ、1つに繋げる演出は流石。

説明を省き、台詞を最小限に抑えて映像と音響で状況が語られ、敵の姿を一切映さない事が恐怖心を増幅させた。各パートに主要人物が置かれているが、主役はスクリーンに映る全ての兵士で、鑑賞者もその1人となり極限状態を体感する。

多少のグロさがあっても良かったかなと思うが、吹き飛ぶ砂浜や破壊される桟橋、穴だらけになる商船などは迫力があり、次々と襲いかかるリアルな映像に息つく暇もなかった。

ドラマチックな感動はなく、絶望からの希望に焦点が絞られ、ただただ「感じる」作品だった。戦争映画としては異色作で、ノーランのこだわりには脱帽。

エキストラと書き割りで30万人以上の兵士に見せ、実物の大型軍艦や戦闘機を使って実際に戦闘があった場所で撮影したという。CGに頼らず本物にこだわり、IMAXカメラで撮影された映像を劇場で観なかった事を後悔…。

トム・ハーディの姿にグッときた。
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