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ダンケルクのskm818のレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.1
ダンケルクからの英国兵撤退を描いた話。3つの時制が入り混じってわかりにくいところはあるが、あまり気にならない。それで何かが分からなくなるということもない。
民間船まで動員するってそんなに軍艦不足なのか?と思ったら、これは本土決戦に備えて軍備を温存するという政治的判断のせいもあったようだ。颯爽と救出に向かう民間船かっこいいけどさ、そういう背景があったんだな。
しょうもないもみ合いで頭を打って死んでしまった男の子のことが英雄みたいに新聞に載ってた(そうやって国民の愛国心を煽っている)ことといい、ちょっとこういうきな臭さ(単純にいい話にはできないような)も随所にある。毛布配ってた盲目?の老人にも何か意味はあるのだろう。
故国に帰りたい兵士たちにしても、協力し合う場面というのはほとんどなくて、船を軽くするためによそ者は降りろとか、違う連隊だからとか、え?仲間割れしてる場合?っていうな。人間そういうものなんだろうな。
皆似たような格好して濡れて汚れまくっているけど、冒頭に出て来た男の子は故国にたどり着けたんだよね? あの喋らない子も。
おそらく機密保持のために不時着した愛機を燃やしてドイツ軍の捕虜になるトム・ハーディかっこよす。隊長は残念だったが同僚さんも助かってよかった。
肝心なときに銃の装填ができないとか、コックピットの蓋が開かないとか、やっと乗り込めたと思った船が魚雷や爆撃ですぐ沈んじゃうとか、沈没した船のそばに彼らを撃沈した敵の飛行機が撃墜されてきて重油で大炎上とか、多分戦場あるあるなのだろう。
トム・ハーディやマーク・ライランスやケネス・ブラナーみたいなかっこよさより、くだらんことで死んでしまったり(敵にやられたということですらない)味方同士で争ったり自分が先に乗り込むためには重傷者や遺体も利用するみたいなことの方がリアルなんだろうなと思った。
全体通して流れてたカチカチいう音が緊張感や不安を高めてとても良い。画面の色などもノーラン作品だなあという感じ。
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