great兄やん

ウィッチのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

ウィッチ(2015年製作の映画)
4.3
【一言で言うと】
「敬虔を憐れむ“祈り”」

[あらすじ]
1630年のアメリカ・ニューイングランド。信仰心のあついキリスト教徒の一家が村外れの森の近くに移り住んでくる。ある日、生後間もない赤ん坊が突如姿を消す。一家に不穏な空気が流れる中、父ウィリアムは、まな娘のトマシンが魔女ではないかと疑い...。

ロバート・エガース監督最新作に向けて未鑑賞だったこちらを観てみることに。

いや〜ホント…マジ天才としか思えない。圧倒的かつ独特なセンスがデビュー作にして既に確立していますし、こんな妖しくも物々しい世界観を生み出せる才能にただただ驚きでしかない。

雰囲気としてはアリ・アスター監督っぽさを感じるのですが、それとはまた違った“怖さ”を感じるあの唯一無二さがまた興味をそそられるんですよね🤔...

とにかく急に迫ってくる怖さというよりもじっとりと忍び寄る怖さといった感じで、正直全く怖くはない。ただそれ以上に精神的に蝕んでくる“悍ましさ”というのがメチャクチャ半端なかったです(・・;)

ストーリーとしてはある信心深いキリスト教信者の一家に降り掛かる最悪な出来事に家族が段々と狂っていく…といった展開で、この頃にあった土着的な信仰心や魔女といった言い伝えなど、それらを絡めた“厭な”部分を“あえて”説明口調で描かず抽象的に徹して描写した点が個人的にはとても良かったのではと思う。

数々の不幸が起こる中、唯一何の被害もない主人公のトマシンは果たして“魔女”なのか、それともただの“信者”なのか、この箇所をボカす事によって観る者諸共疑心暗鬼に陥らせる展開に終始翻弄されまくりでしたね...

それにA24印なだけあって、ワンシーン毎の構図や演出が独特かつ奇抜なので観ていて魅了されますし、特段何も無いシーンですら“何かがいる”恐怖が増幅させるあの森の撮り方やビジュアルがまた素晴らしかったです!!

特に終盤の展開と“カラス”のシーンは思わず口があんぐりしてしまうほどでしたから(^◇^;)...やっぱこの“何が何だか分からないけど、惹きつけられる”世界観。嫌いじゃないわ〜😌...

とにかく信仰の裏に潜む“盲信”の行き着く先とは何なのか?その危うさを強烈な映像表現で描きつつ鈍重かつ格別な余韻を後に引く芳しい一本でした。

個人的にはかなり好きな映画だけどメッセージ性然り余りにも抽象的過ぎるせいか、最後まで具体性を持った“答え”や内容が得られなかった故、ここまで評価が低くなったのでは…とは思いましたね🧐

まぁ自分はキリスト教信者じゃないので明確にこれだ!!といった答えは浮かび上がらないのですが、ただやはり一昔前の人間っていうのは“魔女”を容易く信じてしまうほど愚かで弱くて情けない生き物だって事は十分わかりました😔...

※追記
あのアニャ様のあどけないご尊顔を拝められるだけでも今作の良さは充分に元は取れてるし、アニャ様の“魅力”にいち早く気づいたロバート・エガース監督の審美眼にも、ただただ感謝したいですね🥲