Oto

ウィッチのOtoのレビュー・感想・評価

ウィッチ(2015年製作の映画)
3.9
信頼してる映画人が去年の年間ベストにしていたから鑑賞。
宗教性が強い割には、宗教の悪い側面をちゃんと描いてるのが好感もった。弟は序盤から気づいていたみたいだけど、結局、責任を逃れるため・罪を許してもらうための都合の良い道具みたいな使い方をしていた。その上で歴史や聖書に基づいているからキリスト教を否定しているわけではない。
この映画を語るだけの教養はないんだけど、もう少し曖昧な結末の方が好きだったかもしれない。「失踪」の犯人が、誰か人間の仕業なのか、魔女や悪魔のような超自然的存在の仕業なのか、というハラハラ感は楽しめたけど、『コクソン』の方がどんでん返しや曖昧さがあって上かな〜。設定とか、双子の起用は、『シャイニング』を意識してるのかもしれない。

自分の解釈は、「魔女になる後の物語ではなく、魔女になるまでの物語だった」つまりは、「魔女と疑った者たちが勝手に自滅した物語」ということかなーと思っている。双子が死んだシーンも曖昧だし。
ラストが時系列的に最後だとは限らない(初めから魔女だった)という説もあるけど、トマシンの身体に血がついていたし違うだろうな。。
責任逃れをした父は罪の自覚を持っていたけど、母親は全面的に最悪だったし、弟は性欲、双子は悪魔に魂を売っていたし、因果応報に見えた。トマシンは全く悪いことしてないしね。意外と一般の家族内の争い、社会での争いにも通ずるような普遍性も感じた。

救いがない気もするけど、悪魔の囁きに負けずに自分を信じた側の勝利だし悪くない。「人間の後天的性質の肯定」「宗教・道徳的抑圧からの解放(脱衣がその象徴)」「正しさを押し付けないこと」とか色々な凄さがあると解説を読んで理解した。「無宗教」の日本で低評価なのは分かるけど、学んでおいた方が深みは絶対増すよな。。
面白い解釈まとめ→https://fusetter.com/tw/XH4Af#follower
基礎知識まとめ→https://fusetter.com/tw/4eyl0#follower

役者は凄かったな。。アニャは『スプリット』より幼く見えたけど、こっちの方が撮影は先だったのか。これからが楽しみな女優。
ホラー久々にみるぞ!と思ったけどあまり怖くはない、ファントムスレッドの方がホラーだった。
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