監督が「去年マリエンバードで」の脚本だから、ヌーヴェル・ヴァーグ周辺が撮りそうな雰囲気かなと漠然ではあったが想像はできる。
ストーリーは追う必要はないし、音を消しても問題はなく、それだけ空虚である。この手のレビューなんて作者は何も求めていないだろうが、蓮實重彦のような気の利いたレトリックで論じれば万人が納得。
カフェのインテリアは露骨にピート・モンドリアンの絵画作品から引用ではなく拝借。原色と垂直のみで構成される無機的な絵肌に準じた冷めた物語が続いていく。シェイクスピアの台詞回しにも虚しさしか残らない。
この時代特有のスカした撮り方には、死人に鞭を打つ感じだけどゴダールの功罪は重いと思う。