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死霊館 エンフィールド事件のTEPPEIのレビュー・感想・評価

4.0
「死霊館」シリーズはスピンオフはともかくとして、ホラー映画のなかでも面白い。面白くて怖いドキドキするの三拍子がしっかりしていて、古典的だけど懐古厨にまでエスカレートしない現代ホラーだからこそ出せる不気味さを「エンフィールド事件」でも証明した。前作に引き続きフォーレン夫妻がイギリス、エンフィールドで実際に起こった怪事件を基にストーリーを展開していく。このホラーシリーズは前作もそうだが話を引っ張って、それでいて面白く予測できない展開が続く。本作もフォーレン夫妻の苦悩を取り上げつつ、当時のイギリスや事件に関わる人物をよく分析していると考えさせられる演出力の高さは本作でも発揮される。「ワイルド・スピード」で不測の事態が続いたジェームズ・ワン監督が二度と監督しねぇとビッグバジェット作品から再び十八番のホラー映画にカムバックを果たし、見えない恐怖と見える恐怖の両者を活かした相変わらずのホラー描写は健在。
「エクソシスト」を見て不気味な、そしておぞましい恐怖体験には中々巡り会えない。あれに関してはホラー映画を超越して本当にやばいのだけど、たとえば「オーメン」や「サスペリア」にもあるように「印象づけ」がこのホラー映画にはある。最近の低予算ホラーはほぼゾンビの方々や、悪魔なのかお前はその姿はってなるものが多いのだけれどサム・ライミが作ったゲロかけババアとは違ったテイストの恐怖が「死霊館」には詰まっている。
ベラ・ファミーガとパトリック・ウィルソンが再びフォーレン夫妻を演じているが、この2人の妙な透明感と安定感はこの作品の雰囲気によくあっており、俳優の存在がホラーを喰ってしまうというのがない。意外性がないと言えば嘘になるけど、こういった古典的なホラー映画はやっぱり見応えもあるし最後まで目が離せない。
総評として「死霊館 エンフィールド事件」はホラーだけでなく、妙なユーモアも入り混じった作品に仕上がっている。スピンオフ作品も尼さん登場なので、ぜひぜひ雰囲気漂う出来を期待している。
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