この映画を見終わってから知った、『スイスアーミー』はスイスの軍人のことではなく、いわゆるいろんな機能を兼ね備えた十徳ナイフのこと。
そんな十徳ナイフのようにいろいろな役立ち方をする、死体(メニー)。
屁の力でジェットスキーのようになったり、勃起したアソコの先が故郷の方向を示すコンパスになったり...
そんなギャグシーンのようなところも印象に強いが、きっとこの映画の本質は、死に追い込まれたなかで過去の自分の弱さや醜さを受け入れようと自問自答する、成長物語的なところにあるのではないかと思う。
人前でオナラをするのは醜いことだ。
女性と絡むことができない。
バスの中で一目惚れした女の子に話しかけることもできない。
父親と疎遠である。
受け入れられないことがたくさんあって、その全てに目を背けてきたハンク。
そんな自分をついに受け入れて、変わろうと決意した姿が、最後のオナラのシーンに表れているのだろうと思う。
なんともシュールで感動的なラスト(笑)
久しぶりに、人に勧めづらいが、お気に入りになった作品と出会えた。