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スイス・アーミー・マンのkoyaのレビュー・感想・評価

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
4.5
2016年サンダンス映画祭で受賞。
ということはハリウッド大作ではありません。
この映画は観る人を選ぶというか、万人向けではないと思ったら、IMDBでサンダンス映画祭でこの映画が上映されたとき、途中退席する人もたくさんいた、と知りました。

アイディアはすごくいいのですが、下ネタがあってブラックユーモアも盛沢山で結構、地雷踏んでるなぁって思う部分があって、嫌悪する人覚悟してるなって思いました。

私は最初はあれ?って思ったのですが、最後まで観終わった今は、結構感動だったなぁって思わせるものがあり、はっきり言って好きです。

無人島に流されたハンク(ポール・ダノ)
絶望で自殺しようとしたときに目に入ってきた海辺の人物。
近寄ってみると水死体(ダニエル・ラドクリフ)
・・・もう、ここでポール・ダノファンとしては、おやって思うわけです。

しかも腐敗してガスがたまった水死体がジェットホィールのようになって海をざざざっとか、、、、、おいってツッコむようなことが起きます。

最初の20分はダニエル・ラドクリフはひさすら死んでいて台詞がありません。しかし、ぽつ、ぽつと発声するようになり、口から飲み水が流れ出し、お尻からは火をつけたり、噴射したりするスーパーガスが出たり、目が点になります。

実はハンクは、気が弱くてバスの中で素敵な女の子を見かけても声がかけられない。性欲から?人間らしくなっていく死体の名前はメニー。

死体を便利なスイス・アーミー・ナイフのように描くってそこの所もキリスト教的にはまずいのかもしれません。
もう、地雷踏みまくり。

ダニエル・ラドクリフの死体演技って堂がいっていて、ご本人、この映画がとてもお気に入りなのだとか。撮影は22日間だったそうですが、もちろんダミーを使っているのですがダミーのときも撮影現場にいたというお気に入りよう。

ハンクは生き延びたいけれど、じゃ、生き延びたからしたいことがあるか、というとないんですね。
現実世界に戻るとまたつらい現実が待っているだけかもしれない。
そんなハンクを励ますのが、メニーになるという皮肉。

この映画は最初、笑って、最後は泣けるような映画にしたいと監督は言ったそうですが、確かに最後は妙に感動的でさわやかです。
ポール・ダノはわかりやすいハンサムではないかもしれないけれど、味のあるいい俳優さんですね。
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