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パターソンのYOU5521のレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.8
敬愛してやまないジム・ジャームッシュ監督の最新作

最も好きな監督と言ってもいい。
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を
初めてみた時はすごい衝撃だった。
何でもない話。
でもスゴくスタイリッシュで
おしゃれだった。
また、
前作の『オンリー・ラバーズ・レフト・アライブ』は
何度も観た。
そしてその後「好きな映画歴代1位」に決めた。
いまも変わらない

何が好きかって、
多分そのセンス、価値観、美学、人生観。
そういったものに共感できるんだろうと思う。
『オンリー・ラバーズ・…』のなかで
男がいうセリフが忘れられない。
「有名になるにはもったいない才能だ」
普通才能があったら有名になりたいと思うものでしょう?
でもジム・ジャームッシュはそう思わない。
以前香山リカが言っていた
「有名になりたいなんて病気だ」と同じ意味だと思う

ジム・ジャームッシュ監督が
意識しているか
どうかは知らないけど
「禅」や「老荘」に
通底しているものを感じる

今日新聞の広告にあった
下重暁子の新刊(『極上の孤独』)広告にも
似た匂いがあった。
・孤独ほど、贅沢で愉快なものはない
・「孤独でいるのは、
まわりに自分を合わせるくらいなら
一人でいるほうが何倍も愉しく充実しているからで
成熟した人間だけが到着できる境地でもある」
・集団の中でほんとうの自分でいることは難しい
・孤独を味わえるのは選ばれし人
・他人にあわせるくらいなら孤独を選ぶ
・一人時間の人間観察で世相を知る
・素敵な人はみな孤独
・孤独上手は中年から本領を発揮する
・一人好きはペースを崩さないから健康になる
・一人で行動できないと楽しみが半減する
・孤独を知る人は美しい
・孤独だからこそ、やり遂げられる
・親の死後は格別
・孤独な人は、いい出会いに敏感になる
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さて『ペターソン』。
ジム・ジャームッシュ監督の作品に
「禅」「老荘」を感じるのが僕流の楽しみ方

道で会った、顔見知りの黒人が言う
「何があっても、日は昇り、また沈む」
「毎日が新しい日」
大切にしていたノートを失くしても、
そのことでかえって身軽にもなるのだ

また、日本人旅行者
(『ミステリー・トレイン』に出ていた永瀬正敏!)
が言う。
「白紙のページに広がる可能性もある」
それって「空」とか「無」とか、
同義じゃない?
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いいよね~、ジム・ジャームッシュ監督。
筋金入りのロッカー、パンク、ヒップホップ。
それでいて「禅」や「老荘」の匂いも感じられる…
クールだわ
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