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オルメイヤーの阿房宮の10000lyfhのレビュー・感想・評価

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)
3.0
東南アジア熱帯雨林に暮らす中年白人男性と、現地人の妻との間に産まれた娘ニナとの愛憎。娘をボーディングスクールに入れヨーロッパの教育を施すも、アジア人としてのアイデンティティを育んだ娘は父に反発。アケルマンとしては、ヨーロッパ優越思想への批判という新境地に取り組んだのだろうが、過去の作品で炸裂していた、自分ごとゆえのエネルギーが、本作からは感じにくい。冒頭、クラブでニナがそのバックダンサーを務めるリードシンガーが刺されるのは、時系列的には未来だが、そこへの経緯は不明。ニナの BF となるデインは、正確にいつ登場?スクールを去ったニナを家まで送ってきたお坊ちゃん風アジア人は誰?ニナを甥の嫁にしたいと言ったおっさんの語る「混血女性の末路」とは?謎が多く残る。熱帯雨林の過酷な河は地獄の黙示録やヘルツォークを想起。ストーリーの曖昧さやアジアの幻想みは、アピチャッポンからの影響だろうか。冒頭の夜の川面ショットに始まり、河の映像で執拗に響くトリスタン和音が耳に残る
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