Kaoru

アスファルトのKaoruのレビュー・感想・評価

アスファルト(2015年製作の映画)
4.0
ものすんごくいい映画!
オムニバス3話、1つの共通点は同じ団地で繰り広げられているストーリーということと、いつもどこからともなく聞こえるギュィィィという金属音。
ところどころステキなシーンが定期的にやってきてキュンキュンさせられてしまいます。

自分が監督だったとして、あれだけ綺麗な顔をした息子がいたらば、絶対自分の作品には出すわな。
エズラーくんを思い出させる雰囲気。ガスヴァンサントが好きそうな透き通るような顔立ちよね。

話からすれば母親はいるらしい。でも作品には出てこない。それだけで説明なくとも母性に飢えてることは分かる。その子のお向かいに引っ越してきた元有名女優さん。こちらも詳しい説明はない。だけれどもこんなボロ団地に越してきたのだから堕ちた女優というのも分かる。ワケありな2人。

この作品の1番いいところは、説明によって知らされる映画なのではなく、感じさせる映画だということ。様々なシーンで各々が自由に感じればそれでいい映画なのだと思う。

何故かはわからないけれど、ベッドで頭をなでるシーン、ここで不思議な涙が出てしまった。頭で理由は分からないけれど、心が何かに共鳴したからなんだと思う。彼女を想うととってもとっても胸が痛かったし、彼の優しさがすごく愛しかったわ。男女の恋愛の話ではなく、親子の愛情に似てはいるけれどアカの他人という、親子とは絶対的に違う関係性。うん、これは親子じゃぁ成立しなかったんだったんだろうなぁと思う。

カメラマンのおやじのお相手役はイタリアで有名な女優さん。この話も多くは語らないけれど、鬱々とした彼女を見ればワケあり夜勤なのも想像がつく。みんなどこか闇があるけれど、人間関係を繋ぐのもまたこの闇なのかもしれない。

アタシからしたら宇宙飛行士の話はこの作品のスパイス的な位置で、この大味なスパイスがあるからこそ重くならずに観れる作品でもあったわ。

人の闇、ワケありな過去とか、不協和音とか、そういうのをひっくるめて人間が織りなす日常ってのに愛しさを感じるステキな作品だったわ。

女優さん役のイザベルユペールといい、看護士役のヴァレリアブルーノテデスキといい、オンナが持つ影ってなんでこんなに美しいのでしょう。とってもステキな作品でしたわ♡
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