Melko

はじまりはヒップホップのMelkoのレビュー・感想・評価

はじまりはヒップホップ(2014年製作の映画)
3.7
世界最高齢ヒップホップダンスチームの、汗と涙の奮闘記。

年寄りが若者から敬遠されがちなのって、
知識や経験をひけらかしたり、年齢をかさにして偉そうにしたり、イヤミや文句ばかり言ったり、ゲートボールとか年寄りらしいことしかしない、からなのでは。
それが、
新しいことに貪欲であったり、何でも挑戦してみようとするガッツがあったり、愛する人や家族との思い出を楽しそうに語ったり、戦争のことを教訓として語ってくれたり、若者に歩み寄ろうとする姿勢があったらどうだろうか。若者だって嬉しいんじゃないだろうか。

わたし自身、ヒップホップはダンスも曲も苦手で、普段全く聞かない、なんなら避けがちなジャンル。
みんなと一緒なら、できる気がする、と飛び込んでいく気合いは凄い。わたしだってあんなフリ覚える自信ない。。

「お年寄りの役に立ちたい」と意気込んでたヒップホップ未経験のコーチ、いざ世界大会を前にして「渡航費足らない、どうしよう…」と落ち込むところは、「おいおい…」と、ちょっとツッコミたくなったけど。

老人だから何も怖くない、のではない。
お客さんに受け入れてもらえるかはやっぱり不安だし、体が思うように動かないことへの不安もある。
でも、やると決めたらやる!、団結するならできる!と決意するところは、
さすが、戦争を生き延び、たくさんの反戦デモに参加してきた人たち と言うべきか。

どう見てもヨボヨボな彼らを、若者たちが歓声と共に温かく受け入れ、拍手を持ってパフォーマンスへの敬意を払うのは、
「僕たちも、年寄りになってもあんな風に踊っていたい」と思わせる希望を見せてくれるからだけではなく、自分たちのじいちゃんとばあちゃんがダブって、なんだか心が温かくなったからなのだろう。
もし自分だったら、、
去年亡くなったじいちゃんとばあちゃんが、わたしの年代のカルチャーの歌やダンスに嬉々として取り組んでたら、、きっと、嬉しかったと思うもの。

憧れの舞台で、自分の全力をぶつけるキッズたち。彼らに負けじと、持てる体力の全てをぶつけるおジジとおババたち。
全力でぶつかったモノ同士は、ピース✌️で健闘を讃え合うブラザーとシスター。

学ぶことをやめたら、人間の成長は止まる。
常に新しいことを吸収し学んでいける貪欲さと柔軟さを。
Melko

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