牛猫

透明人間の牛猫のレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
3.7
自殺した恋人が透明人間になって自分に近づいていると感じる女性の恐怖を描いた話。

透明人間という使い古された題材をどのように展開していくのか気になっていたけど、予告編のイメージ通り主人公の追い込まれっぷりや心理戦に富んだ攻防がまさに現代版アレンジといった感じ。
海辺に建つモダンな佇まいの豪邸と無数の監視カメラに警報装置が張り巡らされているところから支配欲の強い恋人の異常さが伝わってくるのもスマートで良い。そんな恋人の元から脱出する冒頭から緊張感が凄まじくて手に汗握る。終始エリザベスモスの怯えた演技が迫真だった。

透明人間による嫌がらせが始まってからは、部屋の端々に映る布やカーテンが全て怪しく見えて、画面の隅々まで目が離せなかった。
重低音強めの音響や、空撮を多用した映像も透明人間の無機質感が演出されていて効果的だった。この雰囲気は映画館でないと味わえない。

前半は目に見えない透明人間の脅威と対峙するエリザベスモスの孤軍奮闘っぷりが見どころだったのに対して、後半は想像していたより透明人間が暴れ回ってしまって雲行きが怪しくなってきた。しかし、なんだかんだ最後にしっかり元のテイストに戻して良い具合にまとめられていたのは流石リーワネル監督といったところ。

透明人間というシンプルなタイトル以上に、単純なホラーではなくサスペンスや心理戦にアクションなど色々な要素が詰まったエンタメ作品だった。
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