ひでやん

T2 トレインスポッティングのひでやんのレビュー・感想・評価

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
3.9
20年の時を経て帰ってきた愛しきクズ共。

あまり期待していなかった続編だが、オープニングを観るとやはり心が躍った。前作と同じ主要人物が実際に年をとり、それぞれの老いを役柄に反映させているので違和感がない。クズ人生の軌道に乗ったままの未来は予想を裏切らず、人はそう簡単に変わらないなと、つくづく思った。

前作と比較すると減速ぎみだが、その速度は老いた彼らに丁度良く、キャラを壊さない人物描写に満足。シック・ボーイことサイモンと再会するシーンはどうなる事かと思っていたが、おしゃべりした後で爆発させる怒りに思わず笑った。ベグビーとの壁越しの再会は、ジャッキーチェンの「ヤングマスター」を彷彿させるコメディで最高。

今作もまたサントラが良いね。レコードで「あの曲」が流れたと思った瞬間、サッと針を上げる演出が憎い。過去は振り返らないレントンだが、ダニー・ボイルは過去をセルフオマージュ。前作と同じ構図で降り立つ駅のホームや、絶妙のタイミングで流れるUnder worldの「Born slippy」のイントロがグッとくる。

「Choose life 」というテーマで疾走した若者が年をとり、今度は若いベロニカにそれを語るシーンが印象的。「レイジング・ブル」のパロディや「シャイニング」のオマージュに思わずニヤリ。

現実を生きる賢い女性たちに対して、過去を生きる愚かな男たち。変われないクズ共の未来に少しだけだが希望があって良かった。
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