Okeydokey999

追憶のOkeydokey999のレビュー・感想・評価

追憶(2017年製作の映画)
3.0

No_103
少年時代の幼馴染との再会、死別によって、暗い過去を拭おうと必死だった主人公と、暗い過去を背負い込む覚悟を決めたもう一人の幼馴染ら二人が、それぞれ新たな一歩を踏み出すという映画。人の孤独な部分を描きながら、圧倒的映像美と美しい音楽が、複雑な思いを抱える登場人物たちを優しく包み込んでいました。


(あらすじは紹介してあるので割愛)


俳優陣の顔ぶれがとても豪華で、それぞれの演技力がキラリと光る場面がいくつもあったのが、俳優ファンの私的には大変嬉しい作品に。中でも長澤まさみ演じる全く笑わない夫に対してどこか余所余所しく振る舞う妻に対し、木村文乃の朗らかで笑顔の絶えない妻といった、対照的な二人の演技がとても印象的。特に長澤まさみの笑わない演技を見たのが初めてだったからか、彼女がずっと堪えて言えなかった本音をついに夫に吐露し涙するシーンはグッときました。
ただ、予告で見る分、ヒューマンドラマとサスペンスが絡み合った重い話のように感じていたので、99分という上映時間の短さには首を傾げていましたが鑑賞して納得。ヒューマンドラマに関しては、どこか視聴側の推測に任せているところがあり、主人公と妻のその後が触れられずに終わったのには少し物足りなさを感じました。原作は未読なので結末が映画の通りなら良いのですが、小栗旬演じる幼馴染は新しい家族を築いて新しい人生を送っていこうとしているのに、主人公だけは原点回帰しちゃった感が否めないのは、この映画のテーマを上手く掴めてない証拠なのでしょうか…。ううん、むずかしい…。一方のサスペンスに関しては特にこれといった展開もなかったので、やはり今作はヒューマンドラマに重きを置いていたのかなとは思いますが、それならばもっと濃く描いた方が良かったような気がします。
しかし、そうは言っても撮影陣はベテランばかり。テレビ画面でこれだけ美しい映像ならば、さぞかしスクリーンで見たときのは迫力は凄かったんだろうなあ。


少年時代に起きたある事件を、誰にも打ち明けられないまま大人になってしまった幼馴染三人。再会の仕方はアレでも、再会することによって彼らなりに過去と向き合う姿、また今を生きようとする姿は胸にくるものがありました。
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