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忍びの国のOkeydokey999のレビュー・感想・評価

忍びの国(2017年製作の映画)
3.7

No_101
人の心を持たぬ忍びの国・伊賀。その伊賀において最強と云われた無門をスポットにあて、実際に伊賀国で起こった『天正伊賀の乱』を描いた今作は、当時の時代背景のみならず、武将たちの義と忍びらの無情さを存分に味わえる、至極の時代劇でした。


(あらすじは紹介してあったので割愛)


『時代劇のようで、時代劇でない。時代劇ではないようで、時代劇』
観賞後に抱いた感想はこんな感じ。時代は戦国の始まりなので、この先どうなる分からない、誰につけば生き残れるのか、と先の見えない将来への不安が漂っていたり、聞いたことのある人物の名前があがったりと時代劇としての要素はしっかりあるんです。ですが、サントラ然り、登場人物の話し方然り、モダンな雰囲気もある。そんな和洋折衷ならぬ今昔折衷な作品だからこそ、堅苦しい時代劇に苦手を感じている人が気楽に観れて親しみやすい作品だと思います。
また何より場面の魅せ方が上手い!グッと相手を引きつけるカメラワークに目を奪われました。特に下山平兵衛と無門の川は見所です。あの殺陣には息をするのも忘れて画面を食い入るように見つめてしまいました。


これは忍びと武士の戦いでありながら、伊賀国の盛者必衰の理を描いたものでもあり、また無門の成長物語でもあります。人でないものが人の心に目覚めたとき、今までの己の行動を振り返ってどう思うのか。最後の、無門の『俺は馬鹿だ…』の台詞は胸に沁みます。沁みまくります。ぜひ時代劇好き嫌い云々の前に、彼ら伊賀の忍びの戦いぶりをみて、笑い、驚き、泣いてください!
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