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オールド・ジョイのskkのレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
3.8
リバーオブグラスがだいぶ面白かったので、今回のイメージフォーラムの特集はできるだけ見に行こうと思ってます

今作はおそらく以前から友人だった普通の男性2人が久々に出会い、一泊二日のピクニックに行くだけ、というびっくりするほど何も起きない映画 ここまで何も起きない映画は自分としては初めてな気がします
緑や水といった自然の風景が延々と映るので、ほぼリラクゼーションな映像で油断すると寝てしまうかも

そのまどろんでしまいそうな映像の中で、(とりわけ夜のキャンプシーンでの)2人の会話の端々やちょっとした表情に見える微妙なギクシャク感が見えてからようやく映画の意図がわかってきた気がします
昔は気のおけない友人であったろうに、方や父親になることを控えた中産階級/方や家庭を持たず、自由奔放に放浪する生活を満喫・・・という具合に年月を経て立場や色々な経験の違いといったもので、こうもうまく噛み合わなくなってしまうのか、と少し悲しい気持ちになりました
ピクニックから帰ってきてからの最後のシーン、落ち着き無く、あてどもなく都市を放浪する寂しげなシーンからタイトルが出てきて映画の幕が降りるのも印象的でした
(なお、最初は、政治的なラジオ放送や赤と青のリュックサックの違いから、当時の共和党/民主党の政治状況を描写しているのか?と勘ぐっていましたが、これは誤った深読みをしてしまっただけかもしれません)

作中において「悲しみは使い古された喜び(old joy)に過ぎない」という示唆的なセリフがありますが、このセリフについて帰り道考えていたら、今後自分にもそういうことを経験することが否応なくあるのだろうな、と少しセンチメンタルになってしまいました
今は昔ではないのに、使い古された昔を期待してしまうがために悲しみが生まれる、というになるのかな・・・

本当に何も起きないのでちょっと退屈な箇所が部分的にあるのは否めないが、じんわりと考えさせられる映画でした おそらく彼らは二度とこうやって誘い合わせては会わないのだろうな…
なお、この映画は犬が可愛いです 度々棒を加えて持ってくるシーンとか大変微笑ましい
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