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ベルファストのskkのネタバレレビュー・内容・結末

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

北アイルランド紛争下のベルファスで幼少期を過ごした少年の話
これ、監督の幼少期の話でもあるんですね
北アイルランド紛争についてはIRAがいて、とか非常に曖昧な知識しかないので、前半の方は状況の把握に追いつくのが大変だった

子供を通して描く戦争(内戦)であり、直接的な描写は控えめな反面、戦時下での家族・親戚との暮らしにフォーカスがある作品
戦争の不穏な要素が近づく中でも、主人公は学校に行ったり淡い恋をしたりいたずらをしたりと、それなりに日常を送っている 戦火の中にある街、というと鬱屈した生活一辺倒なイメージがあるけど、意外とそんなことでもないのかな
その中で、子供同士のやり取りでの話題(プロテスタント/カソリックの見分け方、とか)や大人同士の話ににじみ出る戦争の要素の描かれ方がとてもリアル

主人公家族は色んな要素が相まってベルファストを離れる決断をするのだけど、ここで故郷というものがどんなものか、どれだけ簡単に捨てられないものかというのが普通の人達の目線から語られる この点は昨今のウクライナ侵攻といった国際的な情勢にどうしても思いを馳せてしまう
そして、最後のシーンで祖母が語る数センテンスがとにかく素晴らしい
ベルファストという街に残る者たちが去るものに告げる言葉として含蓄がありすぎて、日本語にして3行程度のセリフにめちゃくちゃ感動させられてしまった

家族の絆と故郷ベルファストへの思いに溢れた映画ですね
非常にいい映画なのに上映館が少ないのは、あまりにパーソナルな話だからなのだろうか…
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