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アンラッキー・セックス またはイカれたポルノのskkのレビュー・感想・評価

3.2
めちゃくちゃ強烈なタイトルに興味を惹かれて鑑賞

冒頭いきなりPOVポルノビデオから始まるが、すぐさまベッタリ挿入される監督による皮肉入りの修正でどういう映画か何となく察知した 
これ無修正版どうなってるのか気になるな

その後は3部構成に分かれているが、うち1つはまるまる用語解説・マルチエンディング方式を採用というかなり実験的な見せ方をしています

第1部はブカレストの街を映しつつ、ビデオが流出してしまった主人公がひたすら彷徨う歩く様子をずっと捉えたもの 
たまにコロナ禍での人々の苛立ちや怒りを感じさせるシーケンスやビデオをめぐるやり取りが入るも、ちょっとあまりに長すぎて冗長な印象 正直キツかったです
私の後ろに座っていたおっさんは冒頭10分もせずにイビキかいて眠っていた(うるさいので帰って寝てほしい)

第2部はまさかの全編用語解説 その前後のパートで実際に使われたものもあったような気がする
かなり風刺っぽい内容での解説なのだが、個人的にはヒットするものとそうでないものでかなり分かれた(若干後者の方が多い)

第3部はビデオに関する保護者会 ここが風刺としては一番わかりやすいかな 
(そもそもセックスで生まれた子供を通わせている、という事実がはずあるのに)保護者会ではやたらと品行方正な正義を装って攻撃する人、人の発言をいちいち揶揄する人、関係ない話をかこつけてする人、もはや議論関係なく叫んでる人・・・と混沌の極み
明らかにこれはTwitterとかでよく観測できる、クソリプまみれで不毛なSNSでの論争を風刺しているのだろうな

ここで最後に提示されるラストが3つあるのだが、3つ目のメチャクチャな展開からラストシーンになるのは笑った 
私はここで描かれているであろう不毛なSNS正義論争ごっこに大変辟易しているので、もう最後の結末により全員網にかかってディルドで一網打尽になってほしいなと思います(1つ目の、多数決で負けた途端に「不当だ!」と主張しだす不毛さは一番有り得そうであるが)

第2、3部あたりの内容はちゃんと理解するにはルーマニアの近現代史を知る必要がありそう 私はチャウシェスクをギリギリ知っているぐらいのレベルだったので、どこまで理解できたか怪しい

相当に野心的な作品だと思いますが、映画としてのバランスが取れているかと言われると、どうだろう・・・という感じ
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