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ポゼッサーのskkのレビュー・感想・評価

ポゼッサー(2020年製作の映画)
4.2
他人の人格に入り込んで暗殺を行う殺し屋に関するSFスリラー
あらすじがかなり私好みでかなり期待して見に行ったのですが、ドンピシャでした

冒頭からいきなり強烈な暗殺シーンから入り、つかみはバッチリ そこから「離脱」してから話が始まっていく 離脱後の画面、見事なまでにずーっとどんよりしたトーンの画面で統一されてますね やや幸薄そうな主人公の見た目も話の雰囲気にピッタリ
序盤での物を使ったテストだとか、元夫の家に行く前に本来の自分を確認するように第一声を練習する様(←これが後半の伏線になっているのは見事!)だとかで人格のゆらぎが起きうるということを観客に刷り込まれるのはうまいな、と思いました 
で、肝心の人格転移を行うシーンでの液体が表面を伝うように人の形が成形されていく描写とか、これいうのを見たかったのだよ!という感じで興奮しました
また、人格や記憶の混乱・混在といった主人公(もしくは転移先)の内面世界で起きていることが描かれる映像(ちょっとレトロ気味な色彩がデヴィット・リンチあたりを想起させるような…)がなかなか良くできており、このサイケデリックな映像部分だけでも一見の価値ありだと思う
中盤〜後半に、主人公と転移先の人のどっちが体の主導権を取っているのかわからなくして緊張感を増大させる展開もハラハラできて良かったです
一番最後のシーン、他の人の感想みてるとちょっと落としてる要素があるかもしれない・・・!これ初見時に発見したかったな

暴力描写が結構鮮烈でエグい上に、記憶のフラッシュバック等で何度も見せられるので注意は必要かもしれない 私はこの映画の鮮烈なスパイスになっていると感じてポジティブに評価します
同様に性描写も結構露骨ですね 日本なのでぼかしが入っていたが、1シーンあまりにあけすけな箇所があって笑ってしまった
まあ総じて強烈な部分も多いので、見る人は選んでしまうかもしれない

ダークなSFスリラーとして、きちんと見せたいものをフォーカスして提示できている良作だと思います 
こういうの見たい、という私の思いにバッチリ答えてくれました
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