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ブラックボックス:音声分析捜査のskkのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ある航空事故を巡って航空事故の調査機関の音声分析官が奮闘するお話という硬派なお仕事映画 航空関係はド素人なので、航空機のブラックボックスというものがあること自体初めて知った
かなりニッチで地味なところを取り扱った映画で、先ずこれでよく映画として成立させたよな、と感心した

BEAが実際に協力していることもあり、仕事映画としてのリアリティはかなり高そう 資料の体裁・作り方(ああいう時系列の表とか基礎資料として作らされそう・・・!)や官僚組織での組織の動き方なり、非常に細かな点までリアルだなーと感じさせられました
あと、劇中で描かれるブラックボックスに録音された音声を分析・調査する模様が単純に好奇心を惹くものであった ああいう風に音声をあの手この手で加工・調整して根気よく調査を進めてくもんなんですね
題材が題材なので、航空業界に関する専門用語などもどんどん出てきますが、まあギリギリわかるかな、ぐらいの感じのフォローはなされるので置いてけぼりにはならなかった

主人公が単純に優秀なだけでなく、神経質で頑固なパーソナリティってキャラ設定なのが面白いですね その設定のおかげで、実際の真相がどうなっていくのか(この展開は結局主人公の妄想なのでは?)というのがより見えなくなってサスペンスとしてプラスの要素になっていると思います
主人公役の人も、天性の才能はあれど、周りを巻き添えにしながらどんどん自説にのめり込んでいくパラノイアックな人物という設定と雰囲気がピッタリ 主人公は結構大それた行動をするのだけど、見ていて「この人ならそうしそうだよね」という気持ちでそれほど違和感なく鑑賞できた

他方、調査の過程で音声分析だけじゃなくて色んなところに出向いたりしてるのだけど、(後で怒られるけど)あそこまで自由に動ける裁量があるのか?というのはちょっぴり疑問ではある まあ流石にデスクの前で部分析しているだけじゃ映画として絵にならないとは思うのだけど、個人的にはもうちょっと音声分析に関する比重を上げてほしかったです
あと、真相に気づくまでのポイント(妻が会話中で気づくところ、ファイルの更新日時に着目したり)は、さりげない上に実際の業務の上で有り得そうなのが良かったのだけど、その後の肝心の真相がちょっと大味な気がするかな… もうあと1つ2つほどそれらしい説明を入れてほしかった印象

ここまで硬派なお仕事映画なのに、割としっかりエンタメとして楽しめる映画かな、と思います
あと、音声に関する映画だけあって音響表現で色々工夫が凝らされているので、かなり駆け込みだったけど劇場で見といて良かったです
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