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ハッチング―孵化―のskkのネタバレレビュー・内容・結末

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ポスターや予告編の不気味さから、絶対これは私が好きなやつだろうと早い段階でチェックしていた作品
その意味では期待通り薄気味悪い映画で好みの路線です 最初の体操シーンの背骨から映すシーンとかいきなり気味悪かったものな

予想以上に明快なストーリーで、基本的には毒親とその子供の話と理解
SNSで素敵な家族像を描くことには熱心だが、その実、家族に自分の理想を押し付けて勝手に行動する母親は完全に毒親そのもの 母親役の骨格が強そうな感じと目が笑ってない作り笑いがかなり怖い 怪物出さなくてもこの人いればホラーが成立するのではないだろうか
その無茶な期待に応えようとする娘の愛憎入り交じった暗い感情が卵に宿って「孵化」し、次第に孵化したもの(≒ティンヤ自身の感情)のコントロールが取れなくなって…って感じであろうか

父親・息子の2人が割りと影が薄い印象があったのだが、これは母娘関係の根深さにフォーカスしたからってことかな 
母親の狼藉をあえて直視せず、空気になっている父親は設定として意味があるからともかくとして、息子はちょっと設定として活かしきれてないような気がしました 父息子がめっちゃ似てるのは面白かったですが
母親の不倫相手が一番マトモってのは良かったですね(最初、ティンヤが「何でもするから黙ってて!」と言った辺りで嫌な予感がしたんですが、ここで大人な対応をしてくれてました)

ラストシーンはちょっと解釈が分かれそうな感じ
個人的にはあまりハッピーエンドとは取れず、母親の独善的な気持ちに応えた結果こんな怪物に成り代わってしまうんだぜ、ということなのかなーと思いました
成長するに連れてアッリに鳥の特徴がなくなって人間(というかティンヤ)にどんどん近づいていくのもそういうことなのだろうか、と思ったり

北欧っぽい洒落たインテリア、鬱蒼とした森林、薄明るい画面に囲まれてストーリーが展開していくので、ホラーとしてはちょっと画面が新鮮
ミッドサマーもそんな感じでしたかね

あまりにも作り物感のある孵化直後ぐらいの怪物の描写が気になったり、「その卵の大きさは流石にバレるんじゃね?」的なちょっと粗い部分もあり、引っかかる箇所はあったのだが、なかなかいい線行ってる作品かなと思いました
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