あきらむ

エル ELLEのあきらむのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
4.1
ハネケのピアニストを見返していて、イザベルユペールの他の作品を見たくなった。
イザベルは知的な中年女性役がよくはまっている。媚びた笑いや明るい笑い方をしないためミステリアスであり、そこに作中の人物たちは惹かれていくのである。

父親に逮捕歴があるがビジネス的に成功した中年女性がレイプされ犯人を追い求めつつ様々な性的経験をする話

面白く、ブラックジョークが効いた作品。レイプされる場面が悲惨なのに最終的に面白くなってしまうってどういうこと?
でも直後には目を覆う光景が広がり、笑いと恐怖と怒りをいったりきたりして感情を狂わされる話大好きな私としては最高だった。
笑いの構造の中に、繰り返しというものがある。またかよ(笑)もうわかったから(笑)みたいなね。それを性的生活や犯罪でやってしまうので、面白い。

登場人物全てに1回はツッコミをいれたくなる。お、おまえ~~~信じられない~~~と、かなり悲惨な「ボケ」をかまし、ツッコミ役の主人公ミシェルが、巧みにツッコミ返したり大ボケの役を演じたりする。
全員集合のパーティのシーンは、見終わったあとに思い返すと感慨深い。表面上は上流階級の楽しいクリスマスパーティなのに、中身は色々と情けなく、怪しい。

イザベルの命令で男性の陰茎のみを出した状態で公共空間で棒立ちさせる光景、これピアニストでも見たよ、、、デジャヴかな。(ピアニストの方が圧倒的に悲惨だが)