ふたば三十郎

マンチェスター・バイ・ザ・シーのふたば三十郎のレビュー・感想・評価

4.0
今のところ今年のベスト。
たぶんこれからも繰り返し何度も観る作品。
ただし一人きりで。

心に傷を負った人間ドラマは普遍的かも知れないが、個人的には、特に男兄弟で育ち、甥っ子がいる男性には余計に胸に突き刺さるものがあると思う。
主演のケイシー・アフレックを見てるだけで、仮に上映時間が10時間あっても観られるだろう。

観賞中、アカデミー主演男優賞がノミネート止まりだったと勝手に思い違いしており、いやいや、これで獲れなかったら何で獲るの?つーか誰が獲ったの?と何度も思ってしまった。
それくらい、ケイシー・アフレックの演技は素晴らしかった。
終映後、館内のポスターで受賞を知り、恥ずかしながらも大納得。失礼しました。

なお、ケイシーの演技を自然に見せながら、計算されたカット割りで印象的に魅せる監督はより素晴らしいと思ったが。
細かい表情の見せ方なんか巧いなあと。
黒澤映画並みに役者とカメラの立ち位置をガッチリ決めたカットなんて最近では珍しいが、また効果的なんだ、これが。

ちなみに、本作の製作マット・デイモンが自分は『グレート・ウォール』に主演してラジー賞まっしぐらなのと、兄弟の話なのでケイシーの実兄であるベン・アフレックを連想し比較してしまうという、笑いの副産物を生み出した罪つくりな作品でもある。
☆☆☆☆