QTaka

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命のQTakaのレビュー・感想・評価

3.3
ポーランド、ワルシャワでナチスたちに立ち向かった人々の姿を描いた一本。
多くの子どもたちに優しく語りかけたコルチャック先生も登場する。
.
原作は、ノンフィクション。つまり、事実を元にした映画ですね。
ボーランドの首都ワルシャワの動物園。
時期は、第二次世界大戦。
ナチスの進行と、占領により、生活が徐々に歪んでゆく。
ナチスによるユダヤ人迫害は、占領したポーランドにおいても行われ、ゲットーに隔離されるようになった。
共に、日常を過ごしてきた仲間が、ゲットーへ送られていく。
そんな中で、彼らとのつながりをどうするのか、助けるのか、見過ごすのか。
それは、まさに、その時その場所を生きた人々の苦悩そのものだったのだろう。
映画には、ゲットーの様子が描かれている。
危険を冒しながらの救出や、一方で非人道的に扱われる人々。
.
ゲットーでは、後の世に大切な人となる、コルチャック先生の姿が描かれている。
子どもたちと共に生き、やがて子どもたちと共に収容所で最後を迎える。
その姿が、駅で子どもたちと共に貨車の中に消えてしまう。
その姿をここに描いたのは、この人物が、ポーランドにとって、あるいは、現代を生きる私たちにとって大切なことだからだろう。
.
舞台の中心となる動物園では、占領したナチス軍が動物たちを次々に撃ち殺す。
それは、他の映画や文章で記されているように、人に対しても同様であった。
そんなことがあるかと思わせることが、まさにここでも動物たちに行われていた。
.
1944/8/1 ワルシャワ蜂起で戦う市民
その反撃も叶わず。
さらに、ソ連赤軍が進行、占領する。
ポーランド市民は、まさに戦火に晒されて、終戦を迎える。
ポーランドの第二次世界大戦が、そのままこの映画の中に凝縮されているようだ。
.
迫害されるユダヤ人を救う話は、日本人の杉原千畝氏やシンドラーなど映画や書籍になったものがある。
それらにも有るように、目の前で起こっていることから目をそらさず、そのことに対して行動した人は少なくなかったのかもしれない。
しかし、それらが、いかに危険なことであったのかということも事実であり、そういうことも含めて映画には描かれている。
.
何があったのか、よりも、人々はどうしたのか、について目を離すことができない一本だった。
QTaka

QTaka