タキ

花戦さのタキのレビュー・感想・評価

花戦さ(2017年製作の映画)
2.8
利休はなぜ切腹しなければならなかったのか秀吉と利休の間に本当は何があったのかは創作の種としてよく描かれる部分で「花戦さ」では趣味嗜好の違いから徐々に決定的な不和に向かうという筋立てから池坊専好が秀吉の逆鱗に触れて殺されてしまった町民の死や利休の死を深く悲しみ秀吉の近視眼的な考えを諌めようと花の戦さをしかけるというもの。専好は人の顔を覚えるのが凄く苦手でそんな状態で池坊の執行をつとめるのがストレスになっていて利休の茶で心ほぐされ号泣したというエピソード、生け花以外は頓着しない自由人だなとは思ったけれど利休や利家や秀吉の顔を昔に1度見たきりで忘れるぐらい普通だと思うけどそんな困ってたのか…とビックリする。ラストの前田利家邸で秀吉に見せるための専好の生け花が、冒頭の岐阜での昇り竜で瞬時に助け舟を出したあの頃を秀吉が取り戻したような仕立てにしていて、利休がお茶によって人の心の奥底にわだかまっていたものを柔らかく溶かすように、専好が花によってそれを成し遂げることができるとした、このあたりのもっていきかたが上手い。無尽斎?の娘、蓮は映画オリジナルらしく理不尽で不条理な世界の唯一の救いなのかもしれない。
ストーリーはともかくキャスト陣がイマイチだったのが残念。専好に顔を覚えられてなかった利休が自分は影が薄いと濃い顔で言ってたのは笑ったけど、佐藤浩市の利休はしっくり来なかった。猿顔を気にしている秀吉がまったく猿に似ていない猿之助なのは笑うところだったのか。三成の吉田栄作の讒言が讒言に聞こえない。
野村萬斎はあいかわらず脅威の表情筋だった。
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