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花戦さのSUIのネタバレレビュー・内容・結末

花戦さ(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

天下統一を果たしたもはや無敵の秀吉に花ひとつで勝負を挑む池坊専好(野村萬斎)。
勝算なんかあるはずがないのに、それまで散りばめられ、積み上げられた伏線、綿密に組み上げられた物語がクライマックスで集約される。それらが勝敗の行方にリアリティーを付与している。

そして「花戦さ」という非暴力的な戦いの結末はやはり笑いが相応しい。そこまでちゃんと計算されている。
冒頭の野村萬斎と信長役の中井貴一の対峙だけでワクワクさせられ、掴みはオッケー!
しかも秀吉(サル)役には猿之助を起用するという念の入りよう。

今作に欠点という欠点は見当たらないけど、強いていうならひとつだけ…。
華道に茶道、千利休に池坊専好と、日本独自の美意識にフォーカスしているのだから、映像美にはもう少し注力してもよかったように思う。こと映像に関していうなら、良くも悪くも普通だ。

これほどよく練られた物語はなかなかお目にかかれないし、キャスティングも文句のつけようがないので、作品の完成度を上げるもうひと工夫、付加価値があれば完ぺきだった。
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