雪山、雪原、雪嵐。雪、雪、雪の閉ざされた世界。
発見された少女の遺体。事件をめぐる出来事は、すべてこの大自然の雪の映像によって説得力をもって成り立っている、と言っても過言ではないくらいです。
いわゆる田舎のコミュニティについて語るとき、人間関係のややこしさはよく注目されますが、自然環境という要素を忘れがちです。当然ですが、世の中ネットでつながっていても、やはりリアルの世界の環境は、人間の心理にとても大きい影響を与えるのでしょう。
そして閉ざされた世界は、人に対する「法」の力が弱まるのかもしれない。法律というのは、都市で生活していて、警察やら行政がしっかりと機能しているのを実感できたときに、人は従おうとするのかも。
恩恵が及ばない世界、閉ざされた世界では人の心は「法」から離れてしまう。さらには理性のベールに被われていた本性が出てきてしまう。そんな人の営みについて考える映画でした。
しかし、そうは言っても、環境のせいにして、この事件を肯定するわけにはいきません。
ハンターのコリー(ジェレミー・レナー)が言うように
「世界は変えられない。だから戦うのは自分の感情」なのです。