浅瀬の岩場での攻防。
限られたアイテムの上手な使い方。
主人公は医学生のナンシー。
彼女は休暇を利用し、今は亡き母がかつて訪れたビーチに辿り着く。
父と幼い妹の世話、勉強漬けの日々から解放され、サーフィンを楽しむ彼女。
そんな彼女の足元には一匹の巨大な人喰いサメが潜んでいた...。
突然の襲撃に足を負傷し大量に出血したナンシー。
何とか近くの浅瀬の岩場に逃れた彼女は、恐怖に喘ぎながらも、医学の知識を頼りに生き残りを掛けた戦いを始める...。
美しい海と砂浜、そしてサーフィン。
水上では軽快に波乗りを楽しむ人間を描写し、水中ではそんな人間を見上げ近づく描写を挟むことで彼らを密かに狙う存在を示し、その流れ沿ってキーアイテムをチラ見させる。
違う視点を挟むことで不安感を煽り、新たな展開へとつなぐ演出が上手い。
・冒頭、砂浜で遊ぶ子どもが発見するカメラ付きヘルメット
・車で砂浜まで連れて来てくれた男性
・地元のサーファー
・酔っ払い
・ナンシーのピアスとネックレス
・潮の満ち引きが分かる時計
・視界に残るブイ
傷つき消耗し、血色が悪くなって行く身体。
満身創痍のナンシーの希望となるキーアイテムが密かに散りばめられ、物語の重要な要素となっている。
また、そんな彼女に寄り添うように岩場に居ついたカモメは、まさに彼女の分身のように見えた。
最後にボードの切れ端に乗せられ、波に揺られる画は「助かる」暗喩なのだろう。
蛇足だが、結構長いこと同居するカモメを観ていて、どことなくスティーヴン・キングの短編「生きのびるやつ」を思い出した。
※興味がある人は読んでみて欲しい。
「スケルトン・クルー3-ミルクマン」収録
しかしながら、ラストのサメとの対決の結末は、ちょっとご都合主義な感じがして不満。
どちらかというと「サメ映画」というより「サバイバルホラー」といった感じが強く、少し物語が薄いのだが、十分楽しめた。
2017/03/27