うどん

最後の追跡のうどんのレビュー・感想・評価

最後の追跡(2016年製作の映画)
3.9
Netflixにオススメされて鑑賞

貧困という"病気"

「銀行強盗」「銃撃戦」「追う者と追われる者」というものは、多くの作品で描かれてきたジャンルだが、今作は一味違ったように思う。

オープニングで映る、銀行の外壁に書かれている言葉から始まるように、今作はアメリカの「闇」を描いている。強盗犯は兄弟で、二人とも汚れていてくたびれた感じ。2人を追う保安官は、老いた白人、先住民の血をひく男性の2人だが、白人保安官のもう一人に対するイジリが笑えないほどキツくて、もう一人はそれに辟易していて、どこかデコボコ。たまに、クスッとさせるシーンはあるものの、チラチラと伺える貧困・民族・土地柄といったアメリカ社会の闇が作品全体に重くかかっている。

劇的にドラマチックな展開とか、エンタメ性の強い展開とかは少なく、現実味ある展開に見入った。特に、待ち伏せしているときの保安官2人の会話、主人公が語る「受け継がれる貧困」に唸りました。兄弟が銀行強盗をする理由、それを知る・気づく人々の反応も印象的。後半の銃撃は、銃社会のアメリカならではのように感じた。

俳優陣の演技が非常に良かった。中でも、主人公のクリス・パインはニヤけ顔のイメージが強いので、今作品のような演技をさらに見たい。ジェフ・ブリッジスもさすが。

脚本家は「ウィンド・リバー」「ボーダー・ライン」と同じ方なのか!どうりで重厚かつ見応えあるわけだ…。
西部劇というジャンル自体は昔からあるものだけど、描かれているのは「今」のアメリカが抱える問題だった。良作でした。
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